戦時下女学生の軍事教練 女子通信手と「身体の兵士化」
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あらすじ/作品情報
戦前、女子の中等教育を担った高等女学校(高女)は「良妻賢母」の再生産の場とみなされてきた。しかし、満州事変から始まった15年戦争下(1931-45年)では軍人を指導教員に招聘して竹槍訓練・匍匐訓練、さらには銃や木銃を使った射撃訓練を含む教練を実施したり、生徒を地域の軍隊に短期入営させて軍人に教練指導を委託したりという高女もあり、身体を「兵士化」する訓練が日常化していった。そうした軍事教練の実態を、関東地方を中心に5つの公立高女の卒業生を対象にした聞き取り調査から探り、高女の変容の要因を分析する。同時に、女性の戦時動員のなかでも空白部分の女性軍属、とりわけ女性通信手に光を当てる。部隊や県庁への防空警報などの連絡係、敵機からの防衛を担う情報係、海上の船舶などからの略号による無線航空情報を翻訳する係、軍隊の機密を知ることができる任務などの軍属としての女性の正規軍への参入の内実を、北海道札幌と愛知県名古屋の軍隊に通信隊員として採用された高女卒業生への聞き取り調査から解明する。高女での軍事教練と女性の通信隊員の歴史から、戦時下の女性の動員の実態を浮き彫りにする貴重な成果。